植物タンニン鞣しとクロム鞣しの違い

 

植物タンニンなめしとクロムなめしの違いを語るうえで、まず皮革の歴史を紐解いていかなければなりません。

 

 

皮革はとても古い歴史があります。人類が動物を生活の糧とし始めてからと考えても数百万年前からと言っても過言ではないでしょう。実は、そのころから、毛皮や副産物を様々なアイテムに利用していたと考えられます。

 

しかし、動物の原皮はそのまま使うことはできません。なぜなら、皮をはいだ後そのまま放置していると硬くなったり腐敗したりするからです。

食卓に並ぶ「ミカンの皮」をイメージしていただくと良いかもしれません。これを、腐らないように、やわらかく保つ必要がありました。

 

それは、試行錯誤の中発見された「なめし」という方法です。

「なめし」とは・・

原皮を皮革製品として使える状態にするには「鞣(なめ)し」と呼ばれる方法があります。

原皮の状態では、革は腐食してしまい長く使うことはできません。

 

撮影協力:ジュテルレザー

 

 

なので、皮を使いやすくするためにするなめしは、未処理の原皮に液体をしみ込ませて物質特性を変化させ耐久性を持たせる事を言います。タンナーこだわりの様々な配合の薬剤を使用します。

 

その、なめし作業には大きく3つの方法があるのです。

一般的な革のなめし方「クロムなめし」と「植物タンニンなめし」「混合なめし」

クロムなめし

現在流通しているほとんどの革製品が重金属系なめし方法です。短期間でなめすことが可能なうえ、加工をしやすいという利点で皮革製品の主流となっています。塩基性硫酸クロムと呼ばれる化学薬品でなめしています。

耐熱性と弾性が高く傷つきにくいです。経年変化はほとんどなく劣化すると元に戻りずらくなります。身に付ける衣類、カバン、クツ、車やソファなど広く利用されています。

混合なめし

さまざまな革製品の為に、「合タン」というクロム鞣しやタンニンなめしと組み合わせせも可能と用途は広いです。
クロム鞣しと同じく無機カチオン系には、アルミなめし剤(塩基性アルミニウム塩)やジルコニウムなめし剤、チタンなめし剤がある。
引用:日本の革

植物タンニンなめし

通称「ヌメ革」とよばれる革です。それは、化学薬品を一切使わず、ミモザの樹皮などから抽出される植物の渋(植物タンニン)でなめし仕上げた革。自然の素材を自然のままになめした天然皮革です。ヌメ革とは大自然の賜物ともいえます。

写真:ララミー

 

しかし、ヌメ革は、市場全体の10%ほどしかに出回りません。紀元前から続き世界的に評価されている製法なものの、ローコスト化が進む中、植物鞣しをする工場は全国で年々減少しています。
製造工程に2週間以上かかることもあり、量産には不向きという点があげられるからです。

この自然のままに植物の渋を利用したなめしは、硬く丈夫で、なんといってもエイジングが楽しめることが特長です。
ララミーでは全製品ヌメ革を使用しています。

 

結局、どのなめし革を選べばいい??

 

どのなめしにも一長一短ありますが、いずれも使う環境に合ったなめし革を選んでいただくと良いえでしょう。

例えば、バイクジャケットやグローブ、など雨汚れの中など防水したりと実用的にお使いなら「化学+革」のクロム系。

また、身近な財布や、ペンケース、ネームホルダーなど、革特有の触り心地、色つやを楽しむなら「自然+革」の植物系。
というように、選んでみるのもよろしいかと思います。

写真:ララミー

 

できるならまず、実際にお店で気になった革製品を手に取ってみることをお勧めします。

革そのものの持つ表情や、さわりごこち、実際の色や質感なども本革を感じてみてください。

 

「ベジタブルタンニンなめし」の革が高価な理由
ベジタブルタンニンなめしの皮は、タンニン濃度を少しずつ上げながらなめすために、原皮から何ヶ月もかけてじっくりと漬けられるのが、作業工程数が多くなり、30以上の工程を踏まえる必要があります。そのため手間暇が非常にかかり、化学薬品を使ってなめすクロムなめしに比べて2~5倍高価になります。