埼玉県秩父郡小鹿野町ちちぶのじかプロジェクトさまより、野生の鹿の革製品製作のご依頼を承りました。

どうもありがとうございます。

 

野生の鹿革を使った製品をつくる

 

 

今回ご依頼を受け、普段牛革を主に扱っているララミーですが、実は過去に鹿革製品は製作した事例もあり、また地域資源活用にお役に立てればと、鹿の皮の活用を快く承らせていただきました。

 

 

 

フルタンニンなめしの鹿のヌメ革です。

 

 

 

そもそも鹿革ってなに??

鹿革とは、千年以上も昔から世界中で装飾品や、武具、袋などに使われてきた皮革。
日本では高級革として古くから愛され、今なお「印伝革 伝統工芸」としてご存知の方も多いいのではないでしょうか。鹿革は、柔らかく、繊維が細かく、保湿、保温性に優れるという特長があります。

 

 

野生の鹿の現状とは・・

 

実は、そんな古くから生息する鹿ですが、野生の動物は増加しすぎると、農作物を荒らされてしまったり市街地に降りてきたりという影響も及ぼしているといいます。それは、鹿のほかイノシシなども含まれるといいます。

そのため、人間と共存するにはある一定の割合で頭数を法令により管理しているとのお話を伺いました。しかしその一方で、捕獲した野獣の有効な活用法も同時に考えなくてはいけません。

プロジェクト担当の方とお話をする中で、

小鹿野町で捕獲された天然鹿を小鹿野町の資源として活用して「駆除される鹿の命を大切に扱いたい」

という理念を伺いました。

 

 

わたくし自身も、こうして個体を大切にする事が野生鹿の存在価値を高めることに繋がると認識しています。

このような主旨をうけ、ララミーとしては野生鹿の特徴を最大に活かした製品づくりを試みました。そして今回、野生鹿の革製品を製作するにあたり以下の特徴を持たせました。

 

 

 

ララミーが野生の鹿革製品をつくるにあたり

 

 

 

 

 

 

・柔らかくきめ細かい手触りを感じる
・野生獣ならでは傷・シワを活かす
・製作の革が余らない無駄のないエコな製法

 

このような野生の鹿革の特徴を最大限に活かすよう、製作が進められました。

 

 

鹿革コインケースの製作

 

そして、鹿革コインケースの製作です。

 

コインケースにあたり、素材の特性の違いなどからさまざまな課題が浮上しました。

しかし、既製品などの大量生産にはない、オリジナルの製品をつくるのは、ララミーの得意分野であります。

 

 

 

 

 

野生の鹿革の2つの課題と解決

 

 

小鹿野

 

、市販の皮と違い。野生の皮は革表面に、個体ごとに異なるシワや傷などが多くあり、均一な製品を作ることが非常に難しいと感じました。

しかし、ララミーでは既製品のような均一性は求めず、傷シワを特徴とする製品にしました。これにより、製作には非常に時間はかかりますが、特徴を活かし無駄なく革を使うこともできると考えます。

 

 

、染色していない革は、汚れ・シミが付きやすく、一般的に好まれない傾向があります。ですが、野生の革を感じてもらうには、他と無い素材でもあります。こちらも、あえて野生革本来の素材感を感じてもらう為、染色をしない「素の革」で製作することになりました。

 

 

 

 

 

こうして、完成したのがこちらです。

 

こじんまりとした、手に収まるサイズ感。

手に取った瞬間から、とてもよい革の香りがします。

 

 

 

 

 

 

コインケースの役割もしっかり果たしつつ、使い勝手もよいです。

 

 

 

いつでもさっとコインを取り出せます。

端の処理も、柔らかい鹿革の為、手に引っ掛かりが無く開閉がしやすい。

折り目の部分は、使うほどに革特有のシワなどなんとも言えない質感がでてきます。

 

 

 

 

 

 

そして、染色していない素の鹿革ならではの、シチュエーションを選ばない素朴な仕上がりに。

 

 

そして手触りは、まるで赤ちゃんのほっぺのような柔らかい感触。

 

 

 

 

 

ひとつひとつ、みんな特徴の違う個性豊かな製品となりました。

鹿革素材の魅力を最大限にいかし、丁寧に作りあげた製品となったのではないでしょうか。

 

 

鹿革提供:埼玉県秩父郡小鹿野町チチブノジカプロジェクト